佐賀県唐津市七山の専業農家・諸熊道晴さんのお話


元肥や農薬などの管理は同じでも作り手によって味が違う。そこが米作りの面白かとこです。

 

  七山は脊振・天山山系の山々に囲まれた自然豊かな地です。うちの田んぼがある桑原地区は「観音の滝」(日本の滝百選)の上流にあって標高は600m。夜間と昼間の寒暖差が大きく、そのまま飲めるような清らかな水に恵まれ、美味しい米の産地として知られています。栽培しているのは主に県の奨励品種であるコシヒカリ。この地区の田んぼは「佐賀県特別栽培農産物の生産ほ場」に認定されていて、『特別栽培米からつ七山産くわばるのこめ』ブランドの共同袋を作って、それぞれで販売しています。でも、元肥も同じで農薬も最低限の使用に抑えるなど基本的な管理もほぼ同じなのに、作り手によって味が違う。そこですよ。そこが米作りの面白かとこです。

“男滝”といわれるほど水量豊富な「観音の滝」(日本の滝百選)
“男滝”といわれるほど水量豊富な「観音の滝」(日本の滝百選)

消費者、米店、農家のみながよかったね!と納得できる美味しさと価格であることが一番。

私は高校を出てからずっと45年間米作りをしてきました。うちの田んぼは全部で3丁5反。20年近く化学肥料は一切使わず、有機肥料だけで育てています。農薬もほぼ使っていません。さらに全部の田んぼにというわけにはいきませんが、浄化作用のある炭を土に漉き込んだり、収穫前に有機イオン水をかけたりと自分なりのこだわりもあります。経費はかさみますが、農家がお金になることばっかり考えても話にはならん。とにかく美味しい米を作って最終的に消費者も米屋さんも生産者もみんなが納得できる味と価格であることが一番です。

浄化作用のあるこの炭を田んぼに漉き込んでいます
浄化作用のあるこの炭を田んぼに漉き込んでいます

こだわりは甘み。糖度だけでは計れない米ならではの甘みを求め続けています。

 

米に限らず美味しいものは、のど通りがよくすっと体に入ってくるし胃にももたれない。添加物やらあると、のどにつまる感じがして入り方が全然違います。美味しい米作で自分が追求しているものは甘みですかね。農作物には糖度だけでは表現しきれないそれぞれ独自の甘みというものがあるんです。自信? ありますよ。副食やらなくても大したことじゃあない。汁物と漬物さえあれば、うちの米はどげしこでも食べれます。主役はごはん。消費者の方にもそう思っていただけたらうれしいですね。



諸熊さんのお米は、ご自宅用ギフト用2種銘柄米詰合せとしてお求め頂けます。